第6章
ギデァ◇
6:1 イスラエルの人々は、主の目に悪とされることを行った。主は彼らを七年間、ミディアン人の手に渡された。
6:2 ミディアン人の手がイスラエルに脅威となったので、イスラエルの人々は彼らを避けるために山の洞窟や、洞穴、要塞を利用した。
6:3 イスラエルが種を蒔くと、決まってミディアン人は、アマレク人や東方の諸民族と共に上って來て攻めたてた。
6:4 彼らはイスラエルの人々に対して陣を敷き、この地の産物をガザに至るまで荒らし、命の糧となるものは羊も牛もろばも何も殘さなかった。
6:5 彼らは家畜と共に、天幕を攜えて上って來たが、それはいなごの大群のようで、人もらくだも數知れなかった。彼らは來て、この地を荒らしまわった。
6:6 イスラエルは、ミディアン人のために甚だしく衰えたので、イスラエルの人々は主に助けを求めて叫んだ。
6:7 イスラエルの人々がミディアン人のことで主に助けを求めて叫ぶと、
6:8 主は一人の預言者をイスラエルの人々に遣わされた。預言者は語った。「イスラエルの神、主はこう言われる。わたしはエジプトからあなたたちを導き上り、奴隷の家から導き出した。
6:9 わたしはあなたたちをエジプトの手からだけでなく、あらゆる抑圧者の手から救い出し、あなたたちの赴く前に彼らを追い払って、その地をあなたたちに與えた。
6:10 わたしがあなたたちの神、主であり、あなたたちはアモリ人の國に住んでいても、アモリ人の神を畏れ敬ってはならない、とわたしは告げておいた。だがあなたたちは、わたしの聲に聞き従わなかった。」
6:11 さて、主の御使いが來て、ァ≌ラにあるテレビンの木の下に座った。これはアビエゼルの人ヨアシュのものであった。その子ギデァ◇は、ミディアン人に奪われるのを免れるため、酒ぶねの中で小麥を打っていた。
6:12 主の御使いは彼に現れて言った。「勇者よ、主はあなたと共におられます。」
6:13 ギデァ◇は彼に言った。「わたしの主よ、お願いします。主なる神がわたしたちと共においでになるのでしたら、なぜこのようなことがわたしたちにふりかかったのですか。先祖が、『主は、我々をエジプトから導き上られたではないか』と言って語り伝えた、驚くべき御業はすべてどうなってしまったのですか。今、主はわたしたちを見放し、ミディアン人の手に渡してしまわれました。」
6:14 主は彼の方を向いて言われた。「あなたのその力をもって行くがよい。あなたはイスラエルを、ミディアン人の手から救い出すことができる。わたしがあなたを遣わすのではないか。」
6:15 彼は言った。「わたしの主よ、お願いします。しかし、どうすればイスラエルを救うことができましょう。わたしの一族はマナセの中でも最も貧弱なものです。それにわたしは家族の中でいちばん年下の者です。」
6:16 主は彼に言われた。「わたしがあなたと共にいるから、あなたはミディアン人をあたかも一人の人を倒すように打ち倒すことができる。」
6:17 彼は言った。「もし御目にかないますなら、あなたがわたしにお告げになるのだというしるしを見せてください。
6:18 どうか、わたしが戻って來るまでここを離れないでください。供え物を持って來て、御前におささげしますから。」主は、「あなたが帰って來るまでここにいる」と言われた。
6:19 ギデァ◇は行って、子山羊一匹、麥粉一エファの酵母を入れないパンを調え、肉を籠に、肉汁を壺に入れ、テレビンの木の下にいる方に差し出した。
6:20 神の御使いは、「肉とパンを取ってこの巖の上に置き、肉汁を注ぎなさい」と言った。ギデァ◇はそのとおりにした。
6:21 主の御使いは、手にしていた杖の先を差し伸べ、肉とパンに觸れた。すると、巖から火が燃え上がり、肉とパンを焼き盡くした。主の御使いは消えていた。
6:22 ギデァ◇は、この方が主の御使いであることを悟った。ギデァ◇は言った。「ああ、主なる神よ。わたしは、なんと顔と顔を合わせて主の御使いを見てしまいました。」
6:23 主は彼に言われた。「安心せよ。恐れるな。あなたが死ぬことはない。」
6:24 ギデァ◇はそこに主のための祭壇を築き、「平和の主」と名付けた。それは今日もなお、アビエゼルのァ≌ラにあってそう呼ばれている。
6:25 その夜、主はギデァ◇に言われた。「あなたの父の若い雄牛一頭、すなわち七歳になる第二の若い牛を連れ出し、あなたの父のものであるバアルの祭壇を壊し、その傍らのアシェラ像を切り倒せ。
6:26 あなたの神、主のために、この砦の頂上に、よく整えられた祭壇を造り、切り倒したアシェラ像を薪にして、あの第二の雄牛を焼き盡くす獻げ物としてささげよ。」
6:27 ギデァ◇は召し使いの中から十人を選び、主がお命じになったとおりにした。だが、父の家族と町の人々を恐れて日中を避け、夜中にこれを行った。
6:28 翌朝早く町の人々が起きてみると、バアルの祭壇は壊され、その傍らのアシェラ像も切り倒されていた。築かれた祭壇の上に第二の若い牛がささげられているので、
6:29 人々は口々に、「誰がこんなことをしたのか」と言った。尋ねまわってヨアシュの子ギデァ◇の仕業だということが分かった。
6:30 町の人々はヨアシュに言った。「息子を出せ。息子は殺さねばならない。バアルの祭壇を壊し、傍らのアシェラ像も切り倒した。」
6:31 ヨアシュは、責めたててやまない人々皆に向かって言った。「あなたたちはバアルをかばって爭うのか、バアルを救おうとでもいうのか。バアルをかばって爭う者は朝とならぬうちに殺される。もしバアルが神なら、自分の祭壇が壊されたのだから、自分で爭うだろう。」
6:32 ギデァ◇がバアルの祭壇を壊したので、「バアルが彼と爭うがよい」と言って、父はその日ギデァ◇をエルバアル(バアルは自ら爭う)と呼んだ。
6:33 ミディアン人、アマレク人、東方の諸民族が皆結束して川を渡って來て、イズレエルの平野に陣を敷いた。
6:34 主の霊がギデァ◇を覆った。ギデァ◇が角笛を吹くと、アビエゼルは彼に従って集まって來た。
6:35 彼がマナセの隅々にまで使者を送ると、そこの人々もまた彼に従って集まって來た。アシェル、ゼブルン、ナフタリにも使者を遣わすと、彼らも上って來て合流した。
6:36 ギデァ◇は神にこう言った。「もしお告げになったように、わたしの手によってイスラエルを救おうとなさっているなら、
6:37 羊一匹分の毛を麥打ち場に置きますから、その羊の毛にだけ露を置き、土は全く乾いているようにしてください。そうすれば、お告げになったように、わたしの手によってイスラエルを救おうとなさっていることが納得できます。」
6:38 すると、そのようになった。翌朝早く起き、彼が羊の毛を押さえて、その羊の毛から露を絞り出すと、鉢は水でいっぱいになった。
6:39 ギデァ◇はまた神に言った。「どうかお怒りにならず、もう一度言わせてください。もう一度だけ羊の毛で試すのを許し、羊の毛だけが乾いていて、土には一面露が置かれているようにしてください。」
6:40 その夜、神はそのようにされた。羊の毛だけは乾いており、土には一面露が置かれていた。
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